ノートとの付き合い方

ノートとの付き合い方

今年、3月の終わりから、私は日記帳を書き始めた。

これまでの人生で「よし、明日から日記を書こう!」と思い立ったのはたぶん200回くらいあって、内100回はチャレンジしてると思う。で、1ヶ月以上続いたことはたぶんない。いや1回くらいあったかもしれない、あったと信じたい。

で、3月の終わりから始めた日記帳は、実は意外と続いている。続いているというと少し語弊があるかもしれない。これまでの私は1日でも間があいてしまったら「失敗」と見なして継続を放棄していた。ノートに隙間があいてしまう度に私は自分を責めて、どうして自分は何事も続けられないんだろうと、もう二度と日記なんてもんは書くまいと、思うのだ。で、忘れた頃に勢いで始めてまた自己嫌悪に陥る。

ただ今回の日記帳は少し違った。「例え1日忘れてしまおうと、例え30日忘れてしまおうと、終わりじゃない」と意識することにしたのだ。

「あきらめたら試合終了ですよ……?」はすなわち、「あきらめなければ試合続行じゃ!!!」なわけだ。だからネヴァー終わりはやって来ない。

心の底からこのマインドに納得できた瞬間から、私の日記は不思議と続くようになった。10月になった今振り返ってみても、書けていない部分は2割ないと思う。肩の力が抜けたように、隙間が気にならなくなった。気にならなくなった途端、書くことが苦痛じゃなくなった。本当に不思議なもので。

さてやっとのことで今日の本題に入りたいのだけれど、今日は『ノートとの付き合い方』についてお話ししていきたいと思う。今年日記帳を始めたことで自信がついて、“ノートを書くこと”も始めた私。これによって割と人生が、というか価値観が?変わったので、その体験をシェアしたい。

そして物にこだわるワタクシ。やっぱりお気に入りのノートを使いたい、ということで、今回は私が愛用しているノートも紹介しようと思う。

天気が良い日の朝のノートタイムは最高のチル時間。チルッチルのチル。

まず、ノートをどう使って、どんな風に人生が変わったのかをお話ししていこうと思う。

私がノートをつけ始めたのは、精神的に病みに病んで鬱ってた時(人生誰しもそんな瞬間があるはず)に、どこにも吐き出せない思いをとにかく吐き出したかったから。今思えばめちゃくちゃ大正解だったと思う。謎にキレイにノートを書きたがる私は、日記帳どころか学習ノートも最後のページまで使い切ったことがなかったわけだけれど、今回は『掃き溜め』として使う前提だったので「汚くて良い。殴り書きでも良い。」マインドがベースにあった。

これが功を奏して、とにかく何か思いついたり吐き出したい思いが浮かんだりしたら、書いて書いて書きまくった。自分でも読めないような殴り書きの文字でも良いし、誰に見せるわけでもないから言葉遣いや文法も気にしなくて良い。図を描いても良いし重ねて書いても良いし、とにかく自由だ。

そんな風に書いていって、なんだかんだ毎日、1日1時間はノートの時間を持っていたんじゃないかと思う。

そうやって何ヶ月も続けていく内に気付いたのは、

  • 問題が解決しなくてもノートに吐き出すだけでスッキリして一旦精神が落ち着く
  • 思いついたことを書きまくっていると「あれ、前にも書いたな」ということに気がつく
  • 落ち着いている時に読むと「大したことじゃなかったんや」とか「精神的に病んでたんやな自分」と俯瞰して見られる
  • 自己ケアができる

こと。

思考が頭の中でごちゃごちゃと渦巻いていると、まあシンプルに邪魔だし、分類も整理整頓もできないし、最後にいつその思考にアクセスしたのか忘れて何度もループしてしまうし、とにかく良いことがない。

ノートに書いたからと言って悩みや問題そのものが解決するわけじゃないんだけど、ノートに書き出すことで精神が落ち着いたり、一旦自分の頭からこの考えを手放すことができる。すると、安心感が生まれる。これだけでとんでもなく安定するからおすすめだ。

結局、苦痛を伴う記憶とか思考をぐるぐると自分の中に持ち続けていることこそ苦痛なわけであって、それを一旦ノートにプールすることで頭の中が楽になる、というわけ。

容量がパンパンのPCから一旦外付けHDに移すことで、余白ができてサクサク動くみたいな、そんな感じ。

そんなことを繰り返していたら、あっという間にノートが1冊終わって、また1冊始めて……と、いつの間にか「ノート終わらせたことない俺っち」から「ノート1冊使い切れる俺っち」にたまごっちばりに進化していた。驚き!

それからもうひとつノートを書いていてわかったことがある。余裕がある時に読み返してみると、悩みのほとんどが自分だけでは解決できない問題だったことだ。

お恥ずかしいながら、大人になってからわかったのだけれど、こと相手がいる問題については、実は考えても無意味だ。なぜなら、他人はコントロールできないから。相手次第の問題は考えても考えても自分の思い通りにいくはずがない。つまり、考える時間がめちゃくちゃ無駄。

それから、自分の思考の癖が見えてくる。「あ、私の思考回路って、こんなルートなのね」って。例えば、何かマイナスなことがあった時、私の場合は他人を責めるんじゃなくて基本的に全力で自分を責める。明らかに自分に非がないとしても、「自分が悪いんだ」と思い込む。そして過去の失敗や負の出来事をい〜い感じに絡めながら「あの時もこうだった、この時もこうだった、だから私は無価値なんだ」という発想になる。う〜ん、見事なまでの鬱展開!

今までだったら何かあればいつもこんな感じの思考回路に陥るんだけれど、一度俯瞰してみて「俺の脳内鬱展開ヤバ」と自分でも引いちゃった経験があるから、また同じような思考回路に陥った時に「いやこれ鬱展開確定のやつ。落ち着け俺」ってまたちょっと俯瞰から考えられるようになる。

さらに「この問題は私だけで解決できる問題?」を自分自身に問いかけられるようになって、「いやお前これ、相手がいるから考え込んだところで無意味ぞ?」と思えれば完璧。だって考えても仕方ないんだもん。

もうひとつ言えば、自分の感じたことを文字起こしして見える化したことで、「ああ私、嬉しかったんだな」「悲しかったんだな」と客観的に感じられるし、そのまま受け入れられるようになった。それがどうして必要かというと、感情をそのまま受け入れることで、「嬉しかったんだね〜よかったね!」「悲しかったんだね〜よしよし」と自己ケアができるようになるからだ。考え方的には、瞑想とか禅に通じるところがあるのかも。

自己ケアができるって、自分を、自分の友人に接するように扱える、ということらしい。自分に対してひどい言葉を使いそうになった時、「同じセリフを大切な友人に言えるかどうか?」を自問する。もちろん言えるはずがない。大切な友人に言えない言葉を、本来大切にするべき自分自身にはどうして言えるんだろうと考える。いや、だめだよ言っちゃ。普通に傷付くよ。そもそも傷付いてるのに、なんでそれ以上傷付けるんや。サイコか。

とにかく、これができるようになって私の人生は本当に変わった。大袈裟だと思うかもしれないけれど、問題を自分1人で解決できるかどうか判断できるようになったことと、思考の癖を客観視できるようになったこと、自分が感じたことをニュートラルにそのまま受け入れられるようになったことで、生きることがめちゃくちゃ楽になった

ノートひとつでここまで変わると思っていなかったから、自分でも驚きだ。

殴り書きでもいいよ。とにかくガシガシ書く。書いたら一旦頭から手放す!

さてここまで長々と私がノートをどんな時にどんなふうに活用したかを述べたところで、そろそろ愛用しているノートをご紹介したい。

私が使っているのはスバリ、『トラベラーズノート』だ。

手のひらサイズの「パスポートサイズ」。小さめのバッグにもすっぽり入るから、肌身離さず持っている

使い方を読んでくださってわかったと思うが、私はとにかく思いついた時にその場でバーっと書き殴るのだ。そのためには、いつでもどこでも持ち歩ける絶妙なサイズ感が肝になってくる。

トラベラーズノートはその名の通り、旅行者が持ち歩きやすいように設計されているので、その点心配はいらない。

トラベラーズノートの良いところはもちろんサイズ感だけじゃない。リフィル(中身)を自由に入れ替えできることも最高に良いポイントだ。リフィルと言ってもルーズリーフのように紙を挟んでいくわけではなく、ノートそのものを何冊も挟んでいくのだ。

実際に使ってみるとわかるけれど、これが実は大事なポイントで、と同時に目から鱗ポイントでもある。

見よ、この萌え断を。ノートが4冊も挟まっているのがわかるはずだ。分厚い紙モノ大好き人間の俺、歓喜。

今の私のノートは、「インプットノート」「アウトプット(マインド)ノート」「To Doノート」「自由帳」の4冊。最近もう1冊、「英語ノート」が追加されたので、正確には5冊だ。

この5冊が常にバッグの中に入っている。

Youtubeやpodcast、テレビやラジオで見聞きした有益な情報や、友達がかけてくれた覚えておきたい大切な言葉を、すぐにその場で「インプットノート」にメモする。

自分の中でうごめく思い(プラスの感情もマイナスの感情も全部、とにかく「吐き出したい!」と思った思考)は、「アウトプット(マインド)ノート」に記入する。

仕事でやらなければいけないことや、買わなければいけないもの、なんとなく「いつかやりたい、やらなきゃ」と思っていることは「ToDoノート」にチェックボックスを付けて記入。

それ以外のことは「自由帳」に書く。絵を描いたり、咄嗟に聞いた電話番号をメモしたり。

そして、英語の勉強をしたときにノートとして使う「英語ノート」。

これらが今私のトラベラーズノートに入っているノート達だ。

さて、ノートとルーズリーフの違いはなにかというと、ひとつにまとまっているかそうでないか。つまり、ノートには終わりがあるけれど、ルーズリーフには終わりがない、ということだ。

ルーズリーフは無限に増やせるし、減らせるし、分類できるし、自分の判断で区切りを付けてファイリングすることもできる。これはこれで便利なのだけれど、私にとっては実はやりにくかったりする。あまりにも自由過ぎると、雑然としている思念を整理することができないし、達成感も得られないからだ。

人によっては「ルーズリーフの方が整理しやすいでしょ!」と感じると思う。なぜなら自在に仕分けして並べ替えができるから。物事にはすべて多面性があるので、考え方次第でいろんな並べ方ができる。例えば英単語だったら、習った順に並べることもできるし、abc順に並べ替えることもできる。自分が覚えていない単語を前半に持ってきて覚えた単語は後半に、なんて並べ替えもできる。

確かにそれはそれで魅力的だけれど、ノートを終わらせたことのないような私にとっては、書くことだけでも精一杯。そのさまざまな判断自体がストレスだし、「有無を言わさず時系列」というノートの方が単純明確で良い。「時系列」というひとつの軸だけで話が済むから、どう分類するか、どう並べ替えるかなんてことは考えず、「ノートが終わるまで書く」ことだけに集中すれば良い。めちゃくちゃ楽。しかも書き終わったノートは同じタイトルのノート同士でファイリングする。「○年○月〜○月まで」とか書くだけ。なにこれ。楽勝。

達成感が得られて、何も考えずに分類と並べ替えができるからこそ、穴が空いていて適宜入れ替えや補充をするルーズリーフタイプのノートではなく、トラベラーズノートを選んだのだ。

ルーズリーフのような「紙の集合体」とノートの違いについて暑苦しく語ってしまったけれど、これはもう実際に使ってみないと実感するのは難しいかもしれない。特に私のように「ノートを使い終えたことがない」「日記が続かない」という人にはぜひ試してみてほしい。

前述の通り私が学生の頃は、書ききれないくせに謎にキレイにノートを書きたがる癖があって、何度失敗しても破り捨てなくて済むようにずっとルーズリーフを使っていた。今思えば、だからこそちゃんと使い切ったことがなかったんだな、と思う。だからこそ永遠に達成感も得られず、書くことが習慣にならなかったんだな、と。

完璧にキレイに書く必要もなかったし、最初からノートを使っていれば良かっただけの話だったんだ。

さてここまで結構な熱量で私のノートの考え方、活用法、おすすめノートについてご紹介してきたのだけれど、さらにもう少しだけトラベラーズノートの良いところを語らせてほしい。

このトラベラーズノート、革の表紙部分だけで購入できる。サイズは私が持っている「パスポートサイズ」と、縦長の「レギュラーサイズ」の2種類。基本のカラー展開は黒、茶、キャメル、ブルー。ちなみに私が持っているのは黒だ。

使い込むと革の表面の細かい傷が良さげな味になる

牛革なのでじっくりと長い年月をかけて使い込むことができるし、クリームを塗ったりとメンテナンスできる楽しみもある。こういうことを「楽しみ」と思える感覚になったのは、大人になったっていう証拠なのかしら。

価格はパスポートサイズが約4,000円弱で、レギュラーサイズが約5,000円弱と「ノート」と考えると少しお高めかも。とは言え革製品はそのくらいして当たり前だし、中身を入れ替えて何十年も使えることを考えると全然安いと思う。学生さんでも手の出しやすい価格帯なのでおすすめ。ちょっとしたプレゼントにも良いかもね。

中身のリフィルは複数種類があって、白紙、横軸、方眼など充実。さらには、日記やスケジュールを書き込めるもの、カレンダー、チケット・写真・地図などを貼れる折りたたみの拡張紙、シールを貼ったり剥がしたりできるノートなど種類が超豊富!私はシンプルにノートとしての用途で使っているけれど、日記帳として使ったり、スケジュール帳として使ったり、その名の通りトラベルノートとして使うことも可能。

方眼は図を描く人におすすめ
私の一番のお気に入りは、ドット方眼。図を描くにも文を書くにもぴったりだ。

さらに、お金などを入れられるチャック付きのクリアホルダーや名刺などを挟んでおけるペーパーファイル、下敷きやピッタリサイズのステッカー・シール、ペンを引っ掛けるためのクリップなどなど……付属品もここでは紹介できないほどたくさん。これも私がトラベラーズノートを選んだ決め手のひとつだ。

私はあまり付属品を持っていないが、とりあえず下敷きとペンクリップはGET。奇跡的にシンデレラフィットした100均の付箋も、何かあったときのためにいつも持ち歩いている1000円札と一緒にクリアホルダーに入れておく。

ちなみに裏技的なところで言うと、私は中身のノートに純正のものは使っていない。私が使っているのは、「無印」のもの。無印にはパスポートサイズのノートが複数売られていて、しかもそのお値段なんと100円ちょい。めちゃんこ安い。私はこれをまとめ買いしてストックしてる。

そして最後にもうひとつ。”愛好家が多い”のも私の偏愛ポイントだ。トラベラーズノートを販売しているTRAVELER’S COMPANYは、中目黒のフラッグシップ店をはじめ、丸の内、京都、成田空港内に実店舗を構えている。トラベラーズノート以外の文房具や小物もたくさん揃い、日々愛好家が集っている。これは通っちゃうよね。

裏面には”TRAVELER’S notebook”の刻印が。

あああ、今回もきっと長くなるんだろうな〜なんて思っていたけれど、ノート一冊にこんなにも書くことがあるなんて、自分でもこの偏愛っぷりにびっくり。

とにかく、私はこのトラベラーズノートがお気に入りで毎日カバンの中に忍ばせて隙あらば開いて何かしら書き書きしている。もしもこの記事を読んで「私もノート書こう!」と思った方がいたらすぐに文房具屋さんか本屋さんに走ってほしい。

あ、ちなみにトラベラーズノートは文房具屋さんや本屋さんで取り扱っているところも多い。LOFTや東急ハンズのような雑貨屋さんにあったりもする。もちろんネットでも買えるのでいずれかからGETしてみてほしい。

最後に、私のノートとの付き合い方のひとつとして、もうひとつだけ紹介させてもらいたいものが。

友人のマツオカミキさん(以下「ミキティ」w)がご夫婦で運営されている『じぶんジカン』のノートだ。

実は先日開始した『じぶんジカン』の新サービス “じぶんジカン相談室” で使用するノートでは、私が中身のデザインを担当させていただいた(めちゃくちゃ楽しかったし勉強になったのでこの話もいつかどこかでしたい!)。

表紙のデザインにもめちゃくちゃこだわった。
印刷ではなく押しなのが推しポイント。

「じぶんジカン」は、自己分析や自己探索をしたり、強みを見つけたり、働き方について考えたりと、じっくり腰を据えてじぶんと向き合うためのノートを販売している。ほいで私も自己探索ノートのユーザーでありファンだったりする。

「まっさらなノートでやみくもに思考を深堀りするのは難しそう」と思う方は、まずはじぶんジカンのノートのように、なにを書くべきなのかを導いてくれるノートから導入してみるのもおすすめ。ひとつひとつの質問に答えていくインタビューのような感覚で自分の考えを言語化・整理できるから、「何を書こう」なんて考える必要がなくて精神的な負荷が少なく済む。

このノートは私がデザインさせていただいたもの。使い方や流れがちゃんと説明されているから、スルスル書き進められると思う。

さらに、ミキティの優しい言葉で綴られたコラムが要所要所に書かれていて、読み物としても楽しめちゃうんだから贅沢の極み。

ちなみに、私が思うにミキティは本当に「思考の人」で、自分自身と時間をかけて向き合ってきた人だからこそこういうものづくりができるんだな〜といつも思っている。私にはできないのでほんと尊敬。

とにもかくにも、白紙のノートはちょっとまだハードル高いよ!って方は、こういうノートから始めてみてはいかがかしら。

ノートとの付き合い方、向き合い方の勉強になると思う!

ということでいつもガジェットのことばかりしゃべくりまくってる私にしては珍しくマインド的な話になってしまったんだけれど、ノートを書く習慣をつけることと、お気に入りのノートを使うこと。これが(精神衛生上)めちゃんこおすすめなので、気になる方はぜひとも導入してほしい。

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